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東京閑〜とん☆ちん☆かん〜日記

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「マイケル・サンデルの究極の選択」という番組

NHK総合で放送された白熱教室シリーズ。
たまに見ているけど、なかなか面白い。
学生時代に戻ったみたいで懐かしくもあり、刺激にもなる。

サンデルさんはハーバードで教鞭をとっている方だそうで
「JUSTIS」をテーマにした講義は大変な人気授業なんだそうです。

今日のテーマは「お金で買えるもの、買えないもの」。

成績に応じてお金がもらえる学校、とか
お金を払えば逃れることのできる徴兵制度、とか
平和ボケした頭にはちょっとリアルに想像しにくい例え話もあったけど

代理母ビジネスへの言及なんかは、自分の身にかなり引きつけて
考えることのできたテーマだったように思う。

結構長いこと不妊治療してきたけど、
インドでは合法的に代理母ビジネスが行われている、
女性の生活向上や自立支援のためにむしろ推進されているということを
この番組で初めて知った。はずかしながら。
(ていうか そういう選択肢については敢えて考えないようにしていたのかな…キリがないから)

私の場合、だけど ほぼ毎回卵子は採れて、受精もできていたので
その話を聞いた瞬間「早くインド行けばよかった!」と思いました、正直。
空しく消えていった卵たち(&マネーw)を思うと うっすら涙さえ浮かびましたよ。

若い学生たちの理想論の前に若干いらだつ様子を見せた某女優さん(同世代w)の
気持ちもよくわかる気がした。自分はこの先いつでも普通に産める、と思ってるよね?
産めないってことがいろんな意味でどんなに傷つくことか、その可能性すら想像したことないよね?
まあ私も実際そうなるまでそんな気持ちわからなかったからw、それは仕方がない。

わからないことがあるからこそ人の話を聞くし、議論だってする意味がある。

それに、代理母って何がいけないの?って思ってた私も
番組で交わされた議論を聞いて、考えて、少し意見を変えたもの。

一方にホントに子供が欲しくて、かつ支払い能力のある人たちがいる(てかヒイヒイ言ってますがw)。
他方にお金や貧困から脱するチャンスが必要で、かつ子供を産む能力のある人たちがいる。
…取引成立、で何がいけないの?ギブアンドテイクじゃない?

ここまでだって相当なお金をつぎ込んで、生命操作に近いといえばそうかもしれない
不妊治療を続けてきた。その延長線上にある選択肢に過ぎない。そんな風にも思えた。

彼女たちの現在の生活と今後のことを思えば、むしろいいことなの。と
インドの女医さんもコメントしてたし。

…だけど。善い悪いの判断とは別に フェアかアンフェアか?という意味では
やっぱりフェアじゃない。と感じたのは、実際に代理母をしている女性の
「私は少し悲しいけど(、元気な赤ちゃんを渡すことができてうれしい)」という
コメントだった。やっぱり、お金のためと完全に割り切れる行為ではないんだ、と。
そういいながらの笑顔は、どこかとてもさびしそうだったから。

彼女たちは、主体的にこの仕事で報酬を得ることを選択している、
強制ではない、自由主義経済の世の中なんだ、というかもしれないけど。
「子供のない夫婦に人生を変えるほどの大きな喜びを与えられる、感謝される」という
使命感や喜びだけで、この仕事を選択できるのか?といったら…たぶんできないんじゃないかな。

貧困という前提がなければ誰も選択しない職業、という時点で
やっぱりフェアじゃない。札ビラで頬をはたくに等しい行為なんだと思った。

貧困脱出のための、過渡的な非常手段として認められなくはないとしても
最終的に推進されるべきところは そこじゃなくて
貧困や格差の解消だったり、女性の地位向上だったり、そこなんだよね。

それと、代理母出産という選択も自由かといえばそうではないよね。
やっぱり費用がまかなえる一部の人に限られるという点でアンフェアだ。

もちろん完全にフェアな社会なんて実現できるとは思わない。
自由がお金の力でもって歪められたり有限だったりするという現実にも
みんなとっくに気づいているだろう。

大なり小なりお金に困ってさえいなければ、嬉々として従事はしないであろう
サービスというのは、他にも臨床治験とか、いろいろあるかも知れない。
でも誰かがやらなくてはいけないこと、というのもある。
その線引きはどこで行うのか、ほんとにほんとに難しいところだけれど。

すくなくとも 代理母については、推奨されるべき選択肢ではないと考えを改めた。
だって彼女の笑顔は本当にさびしそうだったから。傷ついた人の笑顔だった。
貧困や諸事情さえなければ選択しなかったのだろうと、強く感じられたから。
お金の力でそういう選択をさせてはいけないんだ、と。

買う人がいるから、売る人がいる。いっときはお金で何とかなっても
自らを傷つけながらであっては、なんというか…先がないんだ。

そう感じたので。例えば十分なお金が手元にあったとして、
そういうサービスを受けられる国や地域があると知っても、
この番組を見て考えを変えたいま、私は利用しない。

…でも人間は弱いから。不妊治療を終え気持ちも整理できつつある
いまだからそう思えても、これが数年前だったら…
不発を繰り返して焦りまくっていた治療中だったら
そう言い切れていたかどうか、わからない。というか、まるで自信はない。

何だか煮え切らない話だけどw 言いたかったのは
人の意見や議論を聞いたりする機会って、家庭に入ると激減してしまうのだけれど
凝り固まった自分をほぐすために、たまには必要だなーということ。

結論なんてそう簡単にでるものではないし 答えは一つじゃないと
頭ではわかってても いつの間にか凝り固まってる、ことにさえ気づけないw

自分なんかが大局的なことをいくら考えたって
世界は変えられないし救えないかもしれないけど
ひとりひとりが考えることをやめてしまったら そこで終わると思うから

これからも あれこれをぐだぐだ考えることを、やめないでいようと思う。

(それにしても 昔は切れ味鋭い論客という印象だった猪瀬さんが…あらら。とちょいガッカリw
やっぱり書くという行為から離れちゃうと作家はダメになるのかな 知事にせよ副知事にせよww)
by majalis_k | 2012-02-19 00:40 | 小さな家での小さなつぶやき