オットと、川崎にあるN氏の事務所を訪ねる。
外見はおよっ?というようなごくふつうの一軒家風だったが
中へ案内されるとさすが、と思わされるオシャレぶり。
ゴージャスではないがいろいろな工夫が楽しい空間である。わくわく。
N氏は弟さんと2人のユニットで活躍しておられる建築家だ。
お2方とも私たちとほぼ同世代とおもわれるが、
事務所の奥では何人ものスタッフが忙しそうに立ち働いている。
2人ぼっちのうちの事務所とはえらい違いだなあ…
HPでお顔は拝見していたが、実際にお会いしたお2方の印象は、
一言で言うと「剛」の兄、「柔」の弟と言った感じである。
がっしりとした体躯にひげを蓄え、ガラガラ声で歯に衣着せぬ物言いのN氏(兄)。
に対して、線が細く、ちょっと困ったような顔で微笑みながらおっとりと話すN氏(弟)。
なんて絶妙なコンビネーションなんだ! とほれぼれするくらい
息もぴったり、うまいこと役割分担ができている兄弟さんなのだ。
私たちとしては大奮発、背伸びに背伸びを重ねた予算のつもりだったが、
やはり擁壁のやり直しとなると「予算的に厳しい、まず無理だろう」というN氏。
そのうしろで弟さんがスタッフにあれこれ指示を出し、擁壁のやり直しに対する
行政の見解をさぐるために、東京都の条例に関する資料を調べてくれた。
結局、擁壁のやり直しがマストの条件でなければ、何とかなるかもしれないが、
それでも地下ガレージはあきらめざるを得ないだろう、とのこと。
とにかく予定地の区役所へ行って、直接担当者にあって
見解を聞いてきたほうがいいと言われてしまった。
プロの人が行くと役所の態度も厳しくなるのだが、
「ぜひここに住みたいんです」という本人が出向いて熱心に話をすれば、
対応も違ってくることがある、という。そっかー。
いままでメーカーや仲介の業者が調べてくれるのが当たり前、と思っていたけど
自分のことなんだから、それくらい一度は自分の足を使ってやるべき事だったかも
しれない。ちょっぴり反省。
とにかくイニシャルコストを押さえること。そのためには竣工=完成という
考えを捨てること。また、実際に建てるのには1年以上かかるので、
その間の収入もカウントすれば予算は上積みできる、などなど、
なるほどーというアドバイスもいただいた。
「おう、釣りは取っときな!」ふんふん!=3 ってやったら
「お客さん、足りてませんから」と返された気分だ。ハズカしいったら。
想像したとおり、とても素敵な人たちだったので
一緒に家づくりができたらすごく楽しいことになっただろうな。
残念であきらめきれず、帰り道「とりあえず平屋で建ててもらおう(2階は増築で)」
とオットに言ったら怒られてしまった。
たしかに、人にはどう映るか知れないが、仕事の先行きが不安定である
私たちにとってはもうメいっぱい、といっていい数字なのだった。
そんな無理しても作りかけの家しか買えないなんて、
もうオレは田舎に帰る、とオットはすっかりいじけてしまっている。